
やけどは医学的には「熱傷」と言われ、「火傷」とも呼ばれています。
一般に、熱によって皮膚に損傷が生じる外傷です。
熱の温度や熱を受けていた時間によって、傷害の度合いが異なります。
今回は、このやけどについて、その種類や応急処置などをご紹介します。
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Contents
やけどと日焼けの違い
火傷は、『熱(熱湯やアイロンなど熱いもの)』が原因で起こります。しかし、日焼けの原因は『紫外線』です。
火傷は、
傷害を起こしている面積や深さ
(皮膚のどの層まで損傷しているか)
によって重症度が判断されます。
日焼けを好んでおこなうと、広範囲に火傷の症状が現れ、
重症化することがありますが、通常は、深い部分の傷害は
あまりみられません。
やけどの種類
やけどは、雷や電流に触れたときに生じる「電気やけど」、
酸やアルカリに触れたときに生じる「化学やけど」、
放射線を浴びたときに生じる「放射線やけど」、
温熱が原因で生じる「温熱やけど」
の4種類に分けられます。
家庭で生じるやけどのほとんどは「温熱やけど」です。
温熱による熱傷の原因
○熱湯を浴びるポットのお湯がかかったり、沸かしすぎて熱湯になった風呂に
誤って浸かってしまうなど、熱湯が原因で皮膚に損傷が生じます。
○高温になったものに触れる
高温になっているアイロンやストーブなど熱いものに
触れてしまったり、炊飯器や圧力鍋などから吹き出る
蒸気が皮膚にかかってしまうと、熱傷が生じます。
○暖房器具に長時間触れる
カイロや湯たんぽなど、暖房器具を長時間使用していると、
低温やけどを発症します。
低温でも、熱が皮下組織にまで到達して火傷を起こすので、
重症化することも少なくありません。
○引火
花火やろうそく、ガスコンロの火などが、誤って着衣や直接
皮膚や毛髪に引火してしまうと熱傷を生じます。
やけどの症状
皮膚は(皮膚表面から)表皮、真皮、皮下組織で構成されています。もう少し詳しく説明すれば、表皮は上層から
「角質層→顆粒層→有棘層→基底層」
と層をなしています。
真皮は上層から(表皮に隣接する部分)「乳頭層→網状層」の
順に層をなし、網状層の下には皮下組織があります。
やけどは、皮膚のどの層まで損傷しているか、
『深さ』によってⅠ~Ⅲ度に分類されます。
やけどの深さ
○Ⅰ度表皮の角質層(表皮の最上層)に傷害を受けた状態です。
皮膚の表面が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを感じます。
2~3日で治癒し、瘢痕は残りません。
○Ⅱ度(先達性)
Ⅰ度に比べて熱傷が深く、表皮の有棘層や基底層にまで
傷害を及ぼした状態です。
赤くなるだけでなく、腫れや水疱が生じ、傷口が
ジュクジュクしています。
焼けつくような強い痛みを感じます。
ときには、感覚が鈍ってしまうこともあります。
瘢痕は残りにくいですが、治癒まで10日前後かかります。
○Ⅱ度(深達性)
傷害が表皮で留まらず、真皮(乳頭層)まで
達している状態です。
先達性と同じような痛みを生じますが、感覚は先達性に比べて
相当鈍くなります。
傷害が深いため、治癒するまで2週間以上かかり、
瘢痕も残りやすくなります。
医師の治療が必要です。
○Ⅲ度
傷害が真皮から皮下組織にまで達しています。
重度の場合は、骨や筋も損傷しています。
熱傷によって皮膚組織が破壊され、壊死した状態です。
痛みも知覚も全くありません。
皮膚の色は白や黒に変色しています。
ショック状態の場合は死に至ることもあります。
治癒するまでに1ヶ月以上の時間を有します。
治癒後も瘢痕が残る可能性が高いです。
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やけどの応急処置
やけどをしてしまったら、すぐさま患部の『冷却』をおこなうことが重要です。
冷却することによって、炎症や疼痛を抑制し、
感染防止にもつながります。
熱傷直後の適切な応急処置によって、リスクを最小限に留めることができます。
手足の場合
水道水を流水にした状態で、患部を冷やします。水道水の水力を強めて患部を直撃するようなやり方はNGです。
洗面器に水を張り、患部を浸けてもよいでしょう。
水がぬるくなったら小まめに取り替えます。
顔や頭・体幹の場合
シャワーの水をかけ続けたり、水をくぐらしたタオルで患部を包むようにして冷やします。
保冷剤や氷嚢を用いるときには、患部にタオルを当ててください。
冷やす温度
患部を氷などで直接冷やすと、凍傷を引き起こす可能性があります。
冷やす適温は10~15℃です。
保冷剤や氷嚢はタオルを用いて温度調整を
しましょう。
患部を冷やす時間
5分間冷却すると、熱変性を防ぐことができます。5分から30分、冷やしてみましょう。
衣服の着脱
衣服を着ている場合は、脱がさずに、衣服の上から応急処置をおこないます。
冷却した後、衣服を脱ぎますが、患部にひっついて
脱げない場合は、無理に脱がずにそのままの状態で
病院へいきましょう。
広範囲に熱傷を起こしている場合
熱傷が広範囲に及んでいる場合は、冷却することで低体温を招いてしまうことがあるので、冷やすことは避けましょう。
救急車で病院に直行します。
受診までの注意事項
応急処置後、医療機関で診察を受けます(熱傷Ⅰ度の場合を除く)。
患部を触ったり薬を塗ったりせず、清潔なタオルで患部を覆い、
診察に出向きましょう。
まとめ
たかがやけどと思って、このくらいで病院には行かなくても・・・と思いがちですが、跡が残る場合も多いので、小さく
赤い腫れ以上の症状が出たら、しっかりと病院に行って
適切な指示を受けましょう。
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