
今年は手足口病とリンゴ病が猛威を振るっているようです。
特に手足口病は流行警報が発令され、手足口病患者数も、
埼玉では2年前の大流行時のピークを上回り、東京や千葉でも
感染の拡大が報告されています。
他にも、福島、山梨、茨城などで、感染が拡大し、
警報レベルに入ったことで、保護者に予防の徹底が
求められています。
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Contents
手足口病とは?
手足口病は、手や足、口の中などに水疱性の発疹ができる感染症です。
主として、手、足、口に症状が現れることから、
「手足口病」という名前がつけられたといわれています。
手足口病は、夏の初め頃から流行し、たいてい7月下旬に
ピークを迎えます。
手足口病の発症年齢は、5歳以下の乳幼児が約90%を
占めています。
一度感染すると、そのウイルスに対する免疫ができますが、
手足口病の原因となるウイルスは複数存在するため、
感染したウイルス以外のウイルスに感染すると再び
手足口病を発症する可能性があります。
手足口病の感染経路は?
手足口病はウイルスの感染によって起こります。飛沫感染※、接触感染、糞口感染※などの経路を
たどります。
※飛沫感染とは
手足口病の感染している人の咳やくしゃみなどから感染する
※糞口感染とは
排泄された感染者の便の中に混ざったウイルスが手を介して口に入り感染する
手足口病の原因
手足口病の原因は、主としてコクサッキーウイルスA4型、A5型、A6型、A9型、A10型、A16型、エンテロウイルス71型(EV71)
などのウイルスです。
エンテロウイルス71(EV71)の場合は、重症化する場合が
あるので注意が必要です。
潜伏期間は3~7日です。
手足口病の見分け方
夏になると流行る感染症といえば、「手足口病」や「ヘルパンギーナ」、「咽頭結膜熱(プール熱)」
などがあげられます。
これらの感染症や夏風邪は症状がよく似ていますから、それぞれの
特徴を知っておくことが大切です。
初期症状の違いで見分ける
手足口病
手や足、口の中に水疱性発疹が現れるのが特徴です。発熱しても38℃以下の微熱程度です。
5歳以下の乳幼児に多くみられます。
飛沫感染や接触感染が主な感染経路です。
ヘルパンギーナ
突然にして発熱し、38.5度以上の高熱になることが多々あります。
その後、喉の奥あたりに小さな赤い水疱ができ、2~3日すると、
水疱は破れて潰瘍となり、喉に痛みを生じます。
4歳以下、特に1歳の乳児に多くみられます。
飛沫感染や接触感染が主な感染経路です。
咽頭結膜熱(プール熱)
主に、発熱、喉の痛み、頭痛や倦怠感など風邪とよく似た症状が現れます。
眼痛、結膜炎を併発するのが特徴です。
まず、片方の目に症状が現れ、次いで反対の目にも発現します。
感染者の約6割が5歳以下の幼児、次いで、小学生の子どもに
多くみられます。
飛沫感染、接触感染が主な感染経路です。
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手足口病の症状は?
手足口病に罹ると、主に、手のひら、足の裏、口の中に2~3mmの水疱性の発疹が現れます。
手、足、口のすべてに発疹が現れることもあれば、
いずれかの部位だけにしか現れないこともあります。
また、手、足、口以外の部位に発疹ができる場合もあります。
水疱性発疹は、強い痒みを伴うことはありません。
口の中にできた発疹は、軽度の痛みを伴います。
食べ物などの刺激によって水疱が破れてしまうと、強い痛みを
生じます。
感染した約3分の1の人には、軽い発熱(微熱程度)が
みられますが、高熱が続くことはありません。
1週間から10日ほどで、水疱は自然に消滅し、治癒します。
手足口病の重症化
手足口病に感染すると、殆どの人は自然治癒しますが、稀に中枢神経系の疾患(髄膜炎や脳炎)
心筋炎
急性弛緩性麻痺
などの合併症を起こすことがあります。
手足口病の中でも、エンテロウイルス71(EV71)に感染した
場合に多くみられます。
重症化すると、命を落とす危険性もあります。
下記のような症状が現れた場合は、すぐに医療機関で
受診することが重要です。
*顔色が悪い
*高熱が続く
*頭痛
*嘔吐
*視線が合わない
*呼吸の乱れや呼吸不全
*呼びかけに応じない
*ぐったりとしている
*尿がでない
など
手足口病の治療は?
手足口病に効果のある治療薬はありません。軽症の場合が多いので、経過を観察しながら、対症療法
(症状に合わせた治療)をおこないます。
口の中の水疱が潰れたときには、口内炎用の軟膏を塗布します。
口の中の痛みが強く、水分が補給できない場合は、点滴を
おこなうことがあります。
発熱したときには解熱剤、痒みを生じたときには抗ヒスタミン剤が
投与されます。
家庭における対策法
水分補給
水やスポーツ飲料、薄めのお茶など、こまめに飲むことを心がけます。
口の中の痛みによって、水分を十分に補給できないときには、
脱水症状に陥る前に、医師の診察を受け、適切なアドバイスを
もらいましょう。
食事
口の中に水疱ができた場合には、食事がとりにくくなることがあります。
豆腐やゼリーなど薄味で喉越しのよいものを選びましょう。
手足口病の感染予防
手足口病を予防するワクチンはありません。手足口病は、残念ながら感染を確実に防ぐことが
困難な感染症です。
手足口病に罹ると、1週間から10日ほどで自然治癒しますが、
治癒後3~4週間は、便の中にウイルスが排出され続けます。
感染力は急性期(症状が現れているとき)に比べると弱いですが、
まったく感染しないというわけではありません。
幼児の場合、場所をかまわず咳をしたり、
衛生管理(手洗いなど)が不十分です。
ウイルスが付着した手でおもちゃを触るなど多々起こり得るので、
感染を確実に防ぐことは不可能なのです。
石鹸を使用し、流水で十分に手を洗うこと、タオルなどの
衛生用品は人と共有しないこと、人に向かって咳をしないこと
など、幼児が理解できるような言葉で教えることが大切です。
手足口病の出席停止期間
手足口病は、「病状により学校医とその他の医師において伝染のおそれがないと認められるまで」
という明確な基準がない疾患です。
前述どおり、確実に感染を防ぐことはできません。
急性期は人にうつさないよう自宅待機しましょう。
水疱などの症状が回復すれば、医師や幼稚園、保育園の判断に
従って登校しましょう。
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