
ロタウイルス胃腸炎は、冬から初春にかけて流行する
ウイルス性の胃腸炎です。
好発年齢は乳幼児で、5歳くらいまでには、殆どの子どもが
ロタウイルスによる感染症を経験するといわれています。
では大人はこのロタウイルスに感染しないのでしょうか?
Contents
ロタウイルスとは?感染経路や潜伏期間は?
ロタウイルス胃腸炎を発症する原因は「ロタウイルス」です。ロタウイルスは、「車輪」のような形をしたウイルスで、
経口(糞口)感染、接触感染、飛沫感染
によって感染を拡大します。
ロタウイルスの増殖力は大変強く、感染者の糞便を検査すると、
糞便1g中に1000億個から1兆個という莫大な数のウイルスが
検出されるといわれています。
また、ロタウイルスは感染力の強いウイルスでもあり、
糞便1g中10個程度のわずかな数でも、体内に侵入すると、
胃腸炎を引き起こします。
ロタウイルスは潜伏期間が1~3日と短期間です。
ウイルスに対応できる免疫が整う前に発症してしまうので、
感染してしまうと防御が難しくなってしまいます。
大人も感染するロタウイルス
「ロタウイルス胃腸炎」といえば、小児の感染症に思われがちですが、大人も感染する疾患です。
大人がロタウイルスに感染する経路の約70%は、子どもからの
二次感染(感染した子どもの看病をしている過程でうつる)です。
健常な大人の場合、感染しても発症に至らなかったり、
発症しても症状が軽く、自然治癒することが多いです。
しかし、免疫力が極端に低下しているときには、子どもと
同じように、激しい下痢や嘔吐に見舞われます。
ロタウイルスの症状の特徴
ロタウイルスに感染すると、最初に嘔気・嘔吐の症状、続いて腹痛を伴う下痢の症状が現れます。
「酸味のある発酵臭を伴う白い水様便」は、
ロタウイルスの特徴です。
白い水様便とは、米のとぎ汁のような水の便です。
腹痛とともに、激しい下痢が3日~1週間程度続きます。
下痢をした後、すぐにまた下痢をする・・・というくらい、
頻繁に下痢を繰り返します。
嘔吐は、下痢に比べて回数が少ないというものの、吐き気や嘔気が
度々起こります。
激しい嘔吐や下痢によって、発熱することもありますが、
熱は2~3日で治まります。
ロタウイルスの予防法は?
手洗い
石鹸を用いて、流水で、しっかりと手洗いすることが必須です。汚物処理①
糞便や吐瀉物、オムツ、汚物処理に使った雑巾などは、ビニール袋に入れて、厳重に密封し処理します。
汚物処理②
汚物を処理するときには、感染防止のために、使い捨てのビニール手袋をはめ、マスクを着用しましょう。
消毒①
糞便や吐瀉物で汚れた場所やリネンなどは、次亜塩素酸ナトリウム
または
塩素系漂白剤
で消毒します。
汚物が残っていると、消毒作用が低下してしまうので、
汚物はきれいにふき取ってから消毒することがポイントです。
※消毒液の作り方は下記の記事を参照してください。
「ノロウイルスの予防と対策! ハイターや次亜塩素酸の消毒液は?」
消毒②
おもちゃや調理器具、衣類などは煮沸消毒をおこないます。85℃以上の熱湯で1分以上加熱すると、ウイルスが死滅します。
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ロタウイルスワクチン
ロタウイルス胃腸炎は5歳までに1度はかかるといわれている疾患ですが、重症化するとロタウイルス脳炎などの合併症を引き起こす危険性がある疾患です。
残念ながら、現在、ロタウイルスに感染しても、抗ウイルス薬が
ないため、対症療法が唯一の治療法なのです。
WH0(世界保健機構)は、乳幼児の死亡率低下を目的に、
ロタウイルスワクチンの接種を推奨しています。
ワクチンを接種すると、約90%の確率で、症状の悪化を抑制し、
重症化を防ぐことができます。
ロタウイルスワクチンは生ワクチンで、接種法は「経口」です。
ロタウイルスワクチンの種類
ロタウイルスワクチンには複数の種類があります。ロタリックス
「ロタリックス」は、ヒト由来のG1P[8]型ロタウイルスを使って作られたワクチンです。
2回接種で、1回の接種量が1.5ml、
生後6週~24週までの乳児が対象です。
ロタテック
「ロタテック」は、ウシ由来(牛が感染するロタウイルスを使って作られている)ワクチンです。
3回接種で、1回の接種量が2.0ml、生後6週~32週までの
乳児が対象です。
ロタウイルスワクチン接種は、任意接種です。
費用は病院によって異なり、
1回12000~15000円くらい
ですが、ロタワクチンに対する一部公費助成制度が整っている
市町村では、ずい分と安い費用で接種することができます。
ロタワクチンの副作用
ロタワクチンを接種すると、副作用が起こる場合があります。中でも「腸重積症」には注意が必要です。
ワクチン接種のメリットや副作用について、十分に医師と相談し、
接種するか否かを決めましょう。
接種した場合、内服後は、しっかりと経過観察をし、
子供の場合は「機嫌が悪い」など
大人の場合でも「嘔吐する」などの症状が現れたときには、
すぐに医療機関を受診してください。
まとめ
冬場にみられる胃腸炎の代表格は、10月下旬ごろから流行するノロウイルスです。
ノロウイルスは12~1月がピークで、その後下火に
なってきますが、その頃からロタウイルスが猛威を振るいます。
ノロウイルスと違うところは便の色です。
「白い水様便」が出たらロタウイルスを疑ってください。
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