ベッカー型や福山型の特長は?進行性筋ジストロフィーの寿命は?

1206037 筋ジストロフィーは難病です。

また、種類も多く、症状にも個人差があります。

 

この病気を宣告されると、

「自分はいつまで生きられるのだろう?」

と不安になる人もいると思います。

 

しかし、軽症タイプであれば日常生活に制限は出るものの、
平均寿命には健常者とさほど変わりがない場合も多く、重症の
タイプであっても、以前と比べると飛躍的に伸びています。

 

まずは自分のタイプを知り、ご家族や周囲の人と治療方針を
考えましょう。

今回は、この筋ジストロフィーのタイプや症状、
治療についてご紹介します。


筋ジストロフィーの種類 タイプ

筋ジストロフィーは、

筋肉が壊れて、筋肉の力がなくなり筋肉が萎縮していく

この症状が徐々に進んで行く遺伝性の病気です。

 

殆どが遺伝で発症すると言われていますが、 1/3の人は、
遺伝子の異常変異で発症します。

 

前述の通り、筋ジストロフィーは遺伝の形式や症状によって
いくつかの種類に分けられています。

 

筋ジストロフィーの種類別の症状

デュシェンヌ型筋ジストロフィー

筋ジストロフィーのなかでも、一番患者数が多く
3~4才で筋力が低下して、転びやすくなります。

 

その後、歩行困難となり立てなくり、車椅子を使用するように
なります。

 

その他、呼吸困難、心不全、肺の感染症をおこします。

 

ベッカー型筋ジストロフィー

10才前後で発症し、頻繁に転倒するようになり、起き上がるのが
困難になります。

 

その他、心臓障害、筋けいれんを起こします。

 

基本的に症状は、緩やかに進んで行きます。

 

肢帯型筋ジストロフィー

10代~20代に発症します。

走るのが困難になり、立ち上がるのも難しくなります。

 

階段の上り下りも困難になります。

 

肢帯型筋ジストロフィーは、遺伝形式により
さらに15型に分けられます。

 

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

口がゆがむ、肩がかたむく。

咀嚼や嚥下(えんげ)の困難があります。

嚥下(えんげ)とは、食べ物を口の中から、
胃まで運ぶ働きのことです。

 

10代から発症しますが、40代まで発症しない人も
いるそうです。

 

福山型筋ジストロフィー

新生児から症状がみられます。

 

男女共に発症する筋ジストロフィーのなかでは、一番重い症状で、
8才以降には歩行が困難になります。

 

目の異常、

心機能障害、

呼吸不全

摂食障害、

嚥下障害

が現れます。

 

また、精神遅滞もみられます。

 

ベッカー型、福山型筋ジストロフィーの特徴は?

ここでは、

日本人に特有の遺伝子変異でおこる福山型筋ジストロフィー

と、

患者数が最も多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーと似ている
ベッカー型筋ジストロフィー

を詳しくみていこうと思います。

 

ベッカー型筋ジストロフィーの特徴

発症年齢は、10才前後から20代くらいで
男性に発症します。

症状は、緩やかに進行していきます。

 
原因
ベッカー型は、デュシェンヌ型と同じジストロフィンを生成する
遺伝子の異常が原因で病気を発症します。

ジストロフィンとは、筋肉が正常に働くために必要な
タンパク質です。

 

ベッカー型は、染色体性遺伝子の形式をとっています。

 

原因とされているジストロフィンは、X染色体にだけ
含まれているのでこのX染色体に異常が起きると
X染色体を一つしか持っていない男性に発症します。

 

デュシェンヌ型と似たような症状がでるのに、ベッカー型の
進行が緩やかで、症状も軽いのは、原因となっている
ジストロフィンに異常があっても少しずつジストロフィンが
生成されていることに理由があるそうです。

 
症状
ベッカー型の症状は、緩やかに進みます。

 

・頻繁に転倒するようになる

・起き上がるのが困難になる

・心臓障害がでる(心肥大、心不全)

・筋けいれん

・筋力の低下

 
検査
ベッカー型の検査は主に3つの方法があります。

 

・遺伝子検査

ジストロフィンの異常があるかどうか血液検査でみます。

 

・筋生検 

筋肉中のジストロフィンの量を見て判断します。

 

・筋電図検査

診断の裏付けとして行うそうです。

 
治療
筋ジストロフィーの根治治療は、残念ながらまだありません。

 

しかし、現在も開発・研究が続けられています。

 

合併症の治療としては、心臓の症状が早くからみられる方が
いるので定期的に心電図やエコーで検査します。

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福山型先天性筋ジストロフィー

日本に多くみられる小児に発症する筋ジストロフィーのなかで
2番目に発症が多いと言わています。

 

発症は新生児からで、他の子供と比べて、成長の速度が
遅いことで気がつきます。

 
原因
福山型筋ジストロフィーは、9番染色体上にある、
フクチン遺伝子の異常にが原因で発症します。

常染色体劣性形式をとります。

 
症状
新生児や乳幼児の早い時期に発症します。

 

・他の子供と比べると、首のすわりや寝返りなど成長の速度が遅い

・8才ころまでに四つ這いができるようになるが8才以降は、筋力の低下が進行して歩行困難となる

・呼吸、心機能の障害

・摂食障害

・嚥下障害(えんげしょうがい)

・けいれん

・目の異常

 

福山型の特長として

・顔の筋力の低下でふっくらした頬、口をぽかんと開けている

・脳の障害、精神の発達遅延

があります。

 
検査・診断
福山型の検査法は、遺伝子検査が優先となるようです。

 

・遺伝子検査

フクチン遺伝子の異常の有無を調べる

 

・筋生検

その他の先天性との区別が難しいと言われています。

 
治療
合併症の対策として

・リハビリテーションで、運動能力を維持を助けます。

・呼吸障害では、鼻マスク式人工呼吸器などの装着

 

合併症に対して、それぞれの症状にあった治療を行います。

 

進行性ジストロフィーの寿命

医療の進歩とともに筋ジストロフィーの合併症に対する
治療が進み、余命が改善されてきたと言われています。

 

筋ジストロフィーの型別に生存できる年数が違うようです。

 
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの平均寿命
10代後半から、20代まで生存できると言われています。

しかし、近年では医療の進歩により、その生存期間も、
長くなっているようです。

 
ベッカー型筋ジストロフィーの平均寿命
中年期以降まで生存すると言われていて、80才を超えた人の
確認もあるそうです。

 
肢帯型筋ジストロフィーの平均寿命
生存年数は正常な人と変わらないと言われています。

 
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
正常な人と同じだと言われています。
福山型筋ジストロフィーの平均寿命
生存できる平均的な年齢が17.6才と言われています。

10代のうちに亡くなる方が多いです。

 

難病を患うと、余命という言葉が一緒についてくるように
思いますが、筋ジストロフィーの種類によっては病気を
患っていない人と同じように生存されている方もいます。

 

まとめ

筋ジストロフィー自体への根治治療は今現在ないと
されていますが、現代では、たくさんの方々が
筋ジストロフィーを研究されていて、本治験の薬の開発まで
たどりつていると聞きます。

適応される患者さんが限られてくるのかもしれませんが
年々、医療は進歩しています。

今後のさらなる進歩に期待しましょう。

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