
とびひ(伝染性膿痂疹)は、5月頃から発生し始め、7月から9月頃に最も多くみられる感染症です。
とびひには、黄色ブドウ球菌が原因で起こる水疱性膿痂疹と連鎖球菌が原因で起こる痂皮性膿痂疹があります。
その大半は水疱性膿痂疹で、0歳から6歳くらいまでの子どもに好発しています。
僅かな擦り傷や掻き傷、虫刺されや汗疹などに黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入すると発症します。
高温多湿の環境下では、皮膚の抵抗力が下がりやすいので、特に発症しやすくなります。
水疱性膿痂疹の場合、皮膚に痒みを伴う水ぶくれが現れます。
痂皮性膿痂疹の場合、膿疱ができ分厚いかさぶたを形成します。
患部を触った手で他の部位を触ると、そこに伝染して膿痂疹が現れます。
よほど注意しなければ、あっという間にからだのあちこちに伝染してしまいます。
とびひに感染した皮膚は、ひどくなると赤く腫れてただれたり被れたりします。
デリケートで柔らかい子どもの皮膚に発疹ができると、跡が残るのではないかと心配ですね。
今回は、瘢痕をつくらないための治療についてご紹介いたします。
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Contents
■とびひにかかってしまったら
皮膚の発疹をみて、「とびひ」かもしれないと思ったら、患部を消毒して、触らないようにガーゼで覆います。それでも、患部が大きくなってきたり、他の部位にも発疹が現れた場合は、医療機関で受診しましょう。
とびひは、治療を施さなければ自然に治癒することはありません。
また、稀に合併症を引き起こすことがありますから、経過をしっかりと観察する必要性があります。
軽症の場合は市販薬でも治療はできますが、病院で治療を受けるほうが早く完治させることができます。
■病院でおこなわれるとびひの治療とは?
とびひを疑ったときには、小児科や皮膚科で診察を受けましょう。医療機関では、とびひを誘発する細菌に適応した抗菌薬が処方されます。
軽症の場合は外用薬で治療し、重症の場合は、内服薬と外用薬の両方で治療します。
痒みが強いときには、ヒスタミン剤が投与されます。
■とびひが完治するまでの期間は?
とびひは、10日前後で、乾燥してかさぶたが自然に捲れます。ただ、お薬の服用を途中で止めてしまうと再発し、治りが非常に遅くなります。
■とびひは痕が残らない?
一般的にとびひは「痕が残らない」といわれています。とびひになった部位に僅かな跡形があったとしても、日を追うごとに薄くなり、自然とわからなくなります。
痕がはっきりと残っている場合は、肥厚性瘢痕などが疑われます。
この場合は、皮膚科で適切な治療を受けましょう。
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■家庭でできるとびひの治療
痕もなく、とびひを完治させるには、医療機関で処方されたお薬を指示通りに服用することと家庭でのケアが重要です。とびひは
「皮膚を清潔に保つこと」
「掻き毟らないこと」
が基本ですから、次のようなことを心がけてください。
〇患部を掻きむしらない
患部は、痒みがあるので、子どもは我慢できずに掻き毟ってしまいます。掻き毟ると、とびひは益々増えてしまいますから、要注意です。
あまりにひどい痒みが生じている場合は、医師に相談し、かゆみ止めを処方してもらいましょう。
家庭では、患部をガーゼで覆い、直接患部に手が触れないようにします。
〇爪を切る
爪は短く切って、先端はやすりなどで整えておきます。〇入浴の注意
入浴時には、石鹸で患部を優しくそっと洗い、シャワーで十分に洗い流します。バスタブにつかることは避け、お風呂から上がったら外用薬をつけたガーゼで患部を保護しましょう。
〇高温多湿はNG
汗をかいたときには、小まめにシャワーで洗い流し、衣服を着替えます。部屋では、からだが汗ばまない程度にクーラーなどで調節しましょう。
〇鼻をいじらない
鼻の中には、とびひを誘発する細菌が常在しています。鼻の中を触った手でからだを掻いたりするととびひになってしまうことがあるので注意しましょう。
〇プールや外遊びは控える
とびひは人に感染するので、プールなどに入ることは勿論できませんが、外遊びもできるだけ控えましょう。強い日差しによって汗が大量にでると、皮膚が不潔になり、患部の治りが遅くなったり、ときには悪化してしまうことがあります。
〇寝具やタオル、衣服は小まめに洗濯
とびひにかかった子どもの使用した寝具やタオル、衣類は小まめに洗濯して、常に清潔を保ちましょう。また、それらを共有すると感染してしまうので注意してください。
まとめ
小さな子どもに「掻いてはダメ!」といっても、むず痒がって、中々言うことを聞いてはくれませんね。家庭でのケアも大変ですが、一日でも早く治してあげることが肝要です。
痒みが強いときや、お薬を服用しても全く症状が改善しないときには、再度受診して、医師に相談しましょう。
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